人々の生活と社会のインフラを支える電線の専門メーカー
古河電気工業株式会社の100%子会社、古河電工産業電線株式会社(以下、FEIC)は、電線の専門メーカーです。電線やケーブルといっても、さまざまな分野の製品がありますが、その中で同社は電力線、特に中低電圧用途の製品に特化しています。古河電工グループでは、他に高圧電力用ケーブルや情報用ケーブルなどを手掛ける企業があり、グループ全体として幅広い分野のケーブルを提供しています。FEICの製品は建築物、船舶、鉄道、産業機械などで幅広く使われており、社会インフラに欠かせない役割を担い、人々の身近なところで利用されています。今回ご紹介する事例は、グループ会社の各拠点にあるシステムからデータを集約し、直近の在庫状況をWebブラウザに表示する、FEICが自社開発した迅速な在庫状況の把握と在庫管理を支援する「在庫推移検索システム」です。

各拠点に分散するデータを集約し、活用するためにDataSpiderを採用
FEIC 執行役員経理部長 兼システム管理室長の佐藤有信氏は、同社の事業の特色を、こう説明しています。「差別化しづらい分野ですが、耐熱性やエコなどの機能を備えた高付加価値製品を積極的に投入したり、工場ごとに製品を絞り込むなどして効率化を図っています。」FEICの製造拠点は国内5カ所。会社の合併やグループ内の事業統合などによって、現在のFEICに至ります。
グループ全体の業務効率化や経営のスピードアップを図るために、各製造拠点に存在するシステムのデータを集約し分析・活用しようと、2005年頃からETL※ツールの導入に着目し、いくつかのツールの比較検討を行った上で、DataSpiderを採用されました。システム管理室は、本社だけでなく一部の製造拠点に常駐している社員総勢6名。「システム部門の業務はなかなか大変ですので、無理なく効率的に運用していくことが重要です。」とシステム管理室 佐藤氏は言います。DataSpiderは、この多忙な業務を効率化するために、さまざまな用途で使われているのです。
※ETL(Extract Transform Load): 基幹システムなどに蓄積されたデータを抽出・加工・DBへ書込む、これらの一連の処理を担うソフトウェア
HTMLアダプタを使ってグラフを生成。実現のポイントはPHPスクリプトの出力
FEICでのDataSpiderの活用範囲は、2008年頃から大きく広がりました。DataSpiderをバージョンアップしたことによって機能や性能が向上し、さまざまなシステムの基盤に使われるようになりました。同社で最もDataSpiderを使いこなしているというシステム管理室の藤原光則氏は、DataSpiderのHTMLアダプタを用いてユニークな仕掛けのWebアプリケーションを構築しました。以前は、在庫データを分析するためには、関連会社の在庫管理システムからデータを抽出し、その生データをExcelでグラフなどに加工するのに、ノウハウを持った人材が1週間ほどかけて資料を作成していました。FEICではその資料を参考に在庫管理を行っています。そこで、社内の意見を聞きながら考えたシステムが、直近の在庫状況を簡単な操作で閲覧できる、在庫推移検索Webシステムです。
1週間あまり検討した上で、システム管理室 藤原氏が設計をまとめました。「本来の用途ではないかもしれませんが、DataSpiderのHTMLアダプタを使えば短期間でもかなりのWebアプリケーションを作ることができます。在庫推移を一目でわかるようにするにはグラフ表示は欠かせませんのでHTML生成の際に工夫を加えました。」(藤原氏)考え出したのは、HTMLアダプタからPHPスクリプトを出力させ、PHPでグラフを描画するという手法です。もちろん、背後ではDataSpiderが各種システムからデータを集約・更新するようになっています。実際の開発はわずか1週間ほど。設計段階を含め2週間という短期間でプロトタイプまで完成することができました。
社内グループウェアとの連携など、さらに応用範囲の拡大へ
在庫管理担当者など関係者にプロトタイプを1カ月ほど使ってもらい、その意見をもとに改良を加え、システ
ムは無事に本番稼働を迎えました。「手戻りは少なかったですね。DataSpiderは修正が容易だし、もともと設計をきちんと作り込んでいたので、要望もすぐに対応できました。」(藤原氏) 以前は資料作成に1週間かかっていましたが、このシステムで前日までの在庫推移グラフを見ながら会議できるようになりました。在庫量や入出庫量に加えて自動発注用の在庫基準量も合わせて表示しており、設定した基準と在庫推移を一目で見比べることができます。また、細かく分ければ万単位にもなる商品コードだけでなく、商品名のあいまい検索も可能なので、商品を熟知していなくても使えます。
「簡単な操作で、前日までのデータが瞬時に目の前に出てくる利便性は大きいでしょう。ギリギリまで情報が見えてこそ、在庫の圧縮ができるのですから。」と、佐藤氏はこのシステムの効果を評価しています。このシステムはユーザーからの評価が高く、他の販売代理店も同様の仕組みを希望しているほどだそうです。藤原氏は、他にもDataSpiderを活用してさまざまなシステムを作っていこうとしています。「社内で使っているグループウェアがPHPポートレットを組み込めるようになっており、今回の方法でシームレスに連携させることができそうです。共有して役に立つデータは他にもあるので、それを簡単に連携・共有・分析できるような仕組みを今後も作っていきたいですね。」
※この事例の内容は、2010年6月に実施した取材の内容に基づいて作成しています。
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